2007年4月16日月曜日

奇蹟が起きた日


男は今日ふたつの奇蹟を起こした。
そしてそれは何とも切ないお話である。

明け方また古い友達と酒を飲んでいた男は、眠気眼をこすりながらも
朝10時からの面接を受けに大手町へと向かっていた。
そう、就職活動である。

男は焦っていた。
大手町の駅に到着したのは、9時52分。
走れば間に合うというのは何となくわかっていたが、
肝心の面接会場がわからない。

駅のベンチに腰掛けて、すぐさまノートパソコンを開き、
会場の情報があるであろうメールを探すことにした。
この動作は手馴れたもので1分とかからない。まだ間に合うはず。

男はインターネットに接続し、「My Page」と呼ばれるページを開く。
すぐさま「予約確認」へと飛ぶ。

そして男は気づいた。


「面接の予約が入っていない。」

10時に予約したはずの面接が登録された形跡がない。
しかし、手帳には「10時~12時45分」と自分の文字で記されている。

そして男は思い出す。
「キャンセル待ちを忘れないために書いた予定」であると。

「間に合う」ということばがむなしく男の頭から離れていく。

一つ目の奇蹟。


もはや午前中の予定を失った男は、一路大学へと向かう。
「早起きしたことには変わらない。いいことだ。」そう自分言い聞かせながら。


久しぶりに、初回の授業から参加することにすがすがしさを感じた後、
男は18時10分からの違う会社の面接の準備に余裕をもってとりかかった。
今度はしっかりと予定が入っている。



本日2回目の大手町。
男は余裕をもって15分前に駅に到着。
まだ間に合う。

外へ出る。
確か会社があるのは、東京と有楽町駅の中間あたり。
大学で見た会社の地図を思い出しつつ歩き出す。

10分後、男はまだ丸の内周辺を歩いていた。


「迷った」


あるべきところに会社がない。
そして男は地図をもっていなかった。油断した。
焦った男は必死に丸の内を走り回る。

ゆけどもゆけども見つからず。


携帯電話の時計に目をやる。
18時9分。男は本格的に焦った。あと1分。

会社に電話をした男は、自分がまったく
見当違いな場所を彷徨っていることに初めて気づいた。
ビバ東京。


男はなりふり構わず走った。


18時15分到着。
すでに5分を経過していたが、とにかく会場の2階へと走る。


男は会場にただ一人不自然に立っている自分の姿に気づく。
人事の人すらいない。
広い控え室スペースでなぜか一人でポツリ。

すでに始まっていた集団面接で飛び交う声が聞こえる。孤立。


成す術もなく、同じビルにいるであろう人事課に電話をする。
面接控え室から、同じ会社に電話をする自分の姿がなんとも
非現実的で男はなぜか愉快になった。

そして、遅れた旨を伝えたところ翌朝の面接参加の許可をもらう。
一番面接現場に近いところで、翌日の面接の予定を獲得した自分が
さらに愉快に思えてならない。シュール。


散々走って疲弊した男は、結局だれとも会話を交わすこともなく
会社を後にした。二つ目の奇蹟。

帰り際に男は気づいた。

今日したこと、

1)スーツ着て大学へ行った。

2)朝と晩の2回、意味もなく大手町に来て戻った。


ということで悔しいので、何かしようと思ったが、
ビールを飲む金もなかったので、仕方なくカフェオレ飲んで帰った。


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